こわいと感じる


今日はテレビでたまたまドラえもんを観ていたんですが、観ていた回のお話に「わ~…こわ…」って感じました。

大体のあらすじが、絶滅危惧種の動物を守るために、保護したい匂いを醸し出す「世界保護スプレー(名前失念したので適当)」っていうスプレーをかける、っていうお話で、のび太が途中で「自分にかけたらいじめられないで済む!」って閃いて、自分にそのスプレーをふりかけるんです。
そしたら、ジャイアンやスネ夫からもいじめられなくなるししずかちゃんには優しくしてもらえるし町の人には握手して!って言われたり食べ物恵んでもらったりしてウハウハ…みたいな感じのお話でした。

最後は、悪い人に捕まって家で飼われようとされたりテレビ局にしつこくインタビューされたり家まで報道陣が押しかけたりして「いい加減にして~!」って泣くエンドだったのですが…。
このお話のどこが怖かったかって言うと、のび太がしずかちゃんのお家にお邪魔するシーンでした。

「のび太さんは世界に一人しかいないんですもの、珍しくてずっと見ちゃうわ」って、しずかちゃんにじっと見つめられて、のび太は「照れるな~」ってデレデレ。その時にのび太のお腹が鳴って、「大変!何か持ってくるわね!」って慌てながら、しずかちゃんはのび太の為、お母さんにおやつとかを用意してもらうんです。
のび太は「おいしい~」って嬉しそうに食べて、そんなのび太を見て微笑み合うしずかちゃんとしずかちゃんのお母さん。

こう書くと全然怖くないんですけど、しずかちゃん親子の会話の中に「一匹」とか「エサ」っていう言葉が飛び交うんです。
「早くエサを用意しなくっちゃ!」って言って、お菓子とかフルーツを用意するお母さん。それに対してのび太はどんな反応かって言うと、何にも気に留めてないんです。それが「わ~…こわ…」って感じさせられました。

たぶん私は「異様さに気づいてないのび太」に薄ら寒さを感じたんだと思います。
もしここでのび太が「ちょっと!僕のこと一匹って数えたり、おやつのことエサって言ったりするのやめてよ!」って抗議してたら、このシーンはきっと、全然怖くない。異様さや不自然さを、作中で誰も突っ込んでくれないところが、私は不気味で怖いんだなって気づきました。
その後ものび太は商店街で食べ物を恵んでもらったりするんですが、林檎をポーンッて投げられたり「これも食うか?」「こっちはどうだ?」って、いろんな人に群がられたりします。
それを結構最後の最後まで「人気者の証」みたいに受け取って、鼻の下を伸ばすんです。町の人たちの異様さじゃなくて、そのおかしさに気づかないのび太の不自然さに鳥肌が立つ、と言うか。
(「この服、記念にくれよ」って服を引っ張られたあたりで、のび太はやっと「なんかやだ!」って思い始めてました)

例えばホラー映画なんかでも、幽霊や殺人鬼が「ばーん!」って出てきて、登場人物が「ぎゃー!」ってなるシーンより、登場人物の後ろにいる(カメラには映ってる)のに、当の本人は気づいてないとか、何気ない景色を映すシーンに異質なものが映ってるのに、それに「ぎゃー!」って反応をしてくれる人が誰もいないとか、そういう方が悪寒が走るし怖いなぁって感じます。
「怖い!」って感情を自分に委ねられてる感じと言うか、自分一人だけが請け負ってるんじゃないかって思ってしまう怖さと言うか。

今日のドラえもんからは、そんなことを考えさせられました。なんでも突き詰めて考えていくと、自分の中で新しい気づきがあって面白いです^^
なんか久し振りに怖い映画観たくなったなぁ。


生姜