語る(急に)


「バッドボーイ・ループ・ザ・ループ」を読み返していて「ほっ!?」と思い至ったことがあるのですが、太一くんのホントのポートレイトを初めて見た秋組みんなの心の内を想像してみたら、なんだかその対比が面白かったのでメモとして書き記しておこうと思います。

まず万里くん。
万里くんは自分の小説の中でも書いた通り、太一くんのポートレイトの第一印象が「卑屈かよ」と「は?言い訳?」だったんじゃないかと思うんです。「言い訳」というのは「~~だから俺はもう頑張れない」とか「~~だから俺は絶対実らない」とか、そういう結論が最後に来るんじゃないかと予想したうえでの、です。
だから、妨害行為をしてしまった事への「許せない」「信じらんねえ」の気持ちより(むしろそういうズルイ類の事柄に関しては万里くんは割と寛容な気がする)「ネガティブ発言がイラつく」の気持ちの方が大きかったんじゃないかなあ。その苛立ちは、ポートレイトの終わり方とその後の太一くんの言動でどんどん覆されていきます。

十座くん。
十座くんは善と悪を見極めて一刀両断できるから、太一くんのポートレイトを見ててきっと「なんでそこで妨害行為に走るんだ?さっぱりわからん」って首を傾げたと思う。そして一番「あぁ?」って感じてしまった部分は「悪魔のささやきだった」っていう一文だったと思うんです。なんというかこの一文って「誘惑に負けちゃった。だってあまりに甘い言葉だったから、つい」っていう、(仄かに言い訳してる)太一くんの垣間見えるズルさが香る気がして(太一くんのそういうところが私は好きで仕方ないのです)、十座くんはなんとなくそれを本能で感じてしまって「いや悪魔とかささやきとか知らねえし「嫌です」って言えなかったお前が悪いんだろうが」って、心の中でつっこんでたんじゃないかなって思うんです。それ以外のところには「へえ、そうか」「ふうん、そうだったのか」っていう感想以外は特になくて、実にフラットに受け止めてたんじゃないだろうか。

左京さん。
左京さんは正しい正しくないに気づいたらきちんと叱ってやれる人なのに、どういうわけか太一くんのしたことをビックリするくらい咎めなかったですよね。想像するに、左京さんは今までの人生の中で「人様に迷惑をかけた」「自分本位に生きていた」っていう思い出がたくさんたくさんあって、太一くんに過去の自分をメチャクチャ重ねちゃったんではなかろうか、と推測します。
重ねちゃったから耳が痛かったし「…俺も若ぇ時は…」って思い出してたんじゃないだろうか。太一くんのポートレイトの「俺は、何をどうやっても一生償えない罪を犯したんだ」の一文に「ぐっ…」ってなって、「そんなこと言うな。消せない罪なんてこの世にはねえ」って言ってやりたい気持ちと「罪は一生背負ってくしかねえ。テメエが忘れちまったらそれで終わりなんだ」って気持ちが合わさっちゃって、他のメンバーの誰よりも胸が痛かったと思うんだよなぁ…。

臣くん。
臣くんはなんというか、善人だろうと悪人だろうとそれが自分にとって大切な人だったら、もうそれしか思考回路が働かない(盲目的)感じがするので「ああ太一。そんな辛そうな顔しないでくれ」とか「苦しかったな。そうだよな」とか、ハラハラしながら想いを寄せるだけで精一杯、みたいな状態だっただろうなと思います。
ポートレイト前半は「そんなことないよ太一」って千回くらい唱えてただろうし(臣くんは本気でそう思っているけどそれにはれっきとした根拠はない)、ポートレイト後半は「気づいてやれなくてごめんな」とか「どうして気づいてやれなかったんだ俺はバカなのか」みたいな思考に陥って、お門違いに自分を責めてた可能性すらあります。

太一くんのポートレイトの構成は
・自分がいかに理想の自分とかけ離れているか
・それによる劣等感や自己嫌悪がやばい
・結果、誘惑に負けて悪に手を染めてしまった
という感じですよね。
この流れで「なので自分はもうだめです。無理です」っていう結論にもしも至っていたら、万里くん十座くん左京さんは太一くんのこと受け入れられなかったと思うんです(臣くんは逸脱してるからちょっと分からない)。でも、ここで「だからやめます」ってならなかった太一くんだからこそ、三人は太一くんのこと許せたし「一緒にやってこうや」って思える余地があったんじゃないでしょうか。
太一くんって考えれば考えるほどスレスレで、「無理!」って感じる人も絶対いるだろうなって思うし、本当になんか…こう…ギリギリのバランスを保ったキャラだなって思います。
ズルくてちょっと自分本位なんだけど、でもそれを理由にして逃げ出すことがない(なよなよしくならない)から、その部分こそが魅力につながるんだよなあって。
その魅力にガッツーンってやられちゃう人と、いやそもそもズルイところが生理的に無理って人に別れるような気がします。(カンパニーの中で「無理」って感じちゃう人がいたとしたら、椋くん、天馬くん、三角くん、十座くんあたりかなぁ…わかんないけど)

なんか長くなりすぎて何を書きたかったのかあやふやになってしまった!



生姜